名古屋市緑区の社会保険労務士事務所 労務相談、社会保険手続きなどお気軽にご相談ください


【2025年4月改正】子の看護休暇を解説!

,

子の看護休暇とは?!制度の基本から法改正の内容までこれを読むだけでばっちりわかる!!

  

育児・介護休業法の改正により、2025年4月から子の看護休暇の制度が拡充されます。

本記事では、制度の基本から改正点まで、詳しく解説します。なお、今回2025年4月1日からの改正により名称が「子の看護”等”休暇」となりますが、本記事では現行法(2025年3月31日まで適用される育児・介護休業法のこと。以下同じ)に合わせて「子の看護休暇」と記載いたします。

現行法では対象となる子の範囲は「小学校就学の始期に達するまでの子」とされていました。(現行法16条の2)
改正後は「小学校3年生修了まで」の子どもを養育する労働者が対象となります。(改正後の育児・介護休業法16条の2)
小学生とはいえ、低学年のうちは体調を崩すと一人で留守番をさせることが難しいため、対象が小学3年生修了までに広がったのはありがたいですよね。
現行法では、
①週の所定労働日数が2日以下 
②継続雇用期間6か月未満(労使協定で定めた場合)
の労働者は取得の対象者から外されていましたが、改正により②の要件がなくなり、
①週の所定労働日数が2日以下の労働者のみが対象外となります。
休暇を取得できる事由として現行法では

①負傷し、若しくは疾病にかかった子の世話を行うため 
②疾病の予防を図るために必要なもの(予防接種など)


の2つが定められています。(現行法第16条の2第1項)

①の負傷、疾病に関して対象の疾病の種類や症状の程度について具体的に決まりはありません。
②の疾病の予防を図るために必要なものとは「予防接種又は健康診断を受けさせること」です。(育児・介護休業法施行規則第32条)
事業主はいずれの事由についても証明書類の提出を求めることができますが、急に休暇が必要になる事態が想定されるため、事後の提出も認めるなどの柔軟な対応が必要です。

改正後に追加される事由としては

③感染症に伴う学級閉鎖等
④入園(入学)式、卒園式


の2つが追加されます。(改正後の育児・介護休業法第16条の2第1項)

③については「学校保健安全法第二十条の規定による学校の休業その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由」とされており、これは感染症の予防上必要があるときに臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができると定められているものです。
たとえば感染症蔓延防止のための学級閉鎖などがこれに当たります。

子ども自身は感染していないが登校ができないという状況なので、預け先がなく困ってしまいますよね。そのような場合にも休暇を取得することができるようになります。

④は「子の教育もしくは保育にかかる行事のうち、厚生労働省令で定めるもの」とされており、厚生労働省令で「入園、卒園または入学の式典その他これに準ずる式典とする」と定められています。
「式典」という規定ですので、発表会や懇談会などその他の行事は対象にならないことに注意が必要です。
取得できる日数は「一の年度において5労働日(その養育する小学校第三学年修了前の子が二人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として」と定められています。この点は改正はありません。
注意が必要なのは()内で、お子さんが3名や4名いたとしても10営業日が上限となります。

また、取得は1日もしくは時間単位で取れます。(育児・介護休業法16条の2第2項)
なお、時間単位の取得に関して、所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は1時間に繰り上げます。例えば7時間45分が所定労働時間であれば8時間分が時間単位で取得できるようにするということです。

時間単位で取得する場合、「始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものとする。」とされていて、仕事の途中で抜けてまた戻る、といったことはできませんのでこの点も注意が必要です。
前段でも少し触れましたが、子の看護休暇は賃金の支払いを義務とさていません。
そのため会社が有給と定めなければ、休んだ日数(時間)分は無給となります。
会社の規定を予め確認しておきましょう。

看護休暇は以下の内容を会社に申し出ることが定められています。

① 看護休暇申出をする労働者の氏名
② 看護休暇申出に係る子の氏名及び生年月日
③ 子の看護休暇を取得する年月日(一日未満の単位で取得する場合にあっては、当該子の看護休暇の開始及び終了の年月日時)
④ 看護休暇を取得する事由

子の看護休暇について見てきました。取得事由や対象が拡充されたこと、時間単位で取れる制度になっていることから子育てと仕事を両立したい労働者には使いやすい制度になっています。
無給になってしまうことが制度が普及しにくい要因のように思いますが、入社半年以内でまだ有給休暇を付与されていない人や、有給残日数が少ない人など、いざというときに使える制度です。
また、法改正に伴い就業規則の改定が必要となります。法改正のポイントをおさえ、もれなく対応できるようご確認ください。


PAGE TOP