今回は出産のあとの流れについて説明します。
会社が関わる手続きには、主に社会保険料免除に関するものと
収入の補償となる「出産手当金(健康保険)」と「育児休業給付金(雇用保険)」に関するものがあります。
社会保険料免除
産前産後休業、および育児休業期間中は社員・会社ともに社会保険料が免除されます。
会社の役員であっても被保険者であれば対象となります。
申請は産前産後期間、育児休業期間でそれぞれ手続きが必要となります。
※産前産後期間:産前42日及び産後56日間
産前産後については、産前産後休業開始月から
終了日の翌日の属する月の前月までが免除期間です。
(例:1月31日が終了日であれば、2月1日の前月なので1月まで)
なお、産前産後期間に有給を取ったり給与が出ている会社もありますが、
労務が提供されていなければ免除の対象となります。
申出は【産前休業中】に年金事務所・健康保険組合に
「産前産後休業取得者申出書」を提出します。
出産し、出産予定日と出産日にずれが生じた場合には
「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出します。
引き続き、育児休業に入る場合には、
【育児休業期間中】に「育児休業等取得者申出書(新規・延長)」
を提出します。
免除される期間は最長でこどもが3歳になるまでで、
育児休業開始月から、終了日の翌日が属する月の前月までです。
(終了日が末日の場合は育児休業終了月)
申出は3つの期間ごとに行います。
①こどもが1歳になるまで
②こどもが1歳~1歳6か月になるまで
③こどもが1歳6か月~2歳になるまで
標準報酬月額の改定手続き
社会保険料免除に関する基本的な申出は以上となりますが、
関連することとして、職場復帰後の報酬月額改定についても
簡単にご紹介します。
職場復帰をしても短時間勤務制度を利用したり残業ができなかったりして
前の給与よりも少なくなることがあるでしょう。
この場合に標準報酬月額の改定手続きを行うことができます。
通常の随時改定とは異なり、
職場復帰後3か月のうち、給与計算の基礎日数(出勤日+有給)が17日以上ある日が
1か月あればよく、報酬額の変動も1等級以上の差で申請ができます。
※特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は11日
※短時間就労者(パート・アルバイト)で3カ月すべてが17日未満の場合は15日以上の月の平均で計算
この申出は本人からの申出をうけて会社が行う手続きのため、
こういった制度があることを説明し、希望を聞くようにするとよいでしょう。
そのほか、
こどもが3歳未満の間、給与が少なくなり標準報酬月額が下がることで
将来の年金額が減ることがないよう、
こどもを養育する前の標準報酬額で年金の計算をするように
申出をする仕組みもあります。
(「厚生年金の養育機関の従前報酬月額のみなし措置」)
制度について、もっと詳しく説明してほしい!
かみ砕いて説明してほしい!という方はお気軽に当所までご相談ください。
次回は生活補償である「出産手当金(健康保険)」と「育児休業給付金(雇用保険)」
についてご紹介します。